理事長のつぶや記~vol.16~
江戸時代は外見が重要
江戸時代は外見が重要で、頭のてっぺんから足の先まで、細かい身なりの規則がありました。
武家の場合は羽織袴の平常の姿でも、懐に手拭を入れているときは、街中では道を譲らなければなりませんでした。懐に手拭を入れるのは、公用で仕事をしにいく印で、うっかり声もかけられませんでした。
手拭を懐に入れるのは、町方が祭りのときの若衆もそうでした。そろいの半纏(はんてん)、股引に長い手拭を懐にいれていました。宮神輿の山車(だし)を引く、氏神様への公用だったからです。手拭は便利なもので、これを被ると身分がわからなくなるのです。というのもVol.11でも紹介しましたが、江戸時代は髪型で
身分が明らかになるからです。「ほっかむり」や「お高祖(こそ)頭巾」は、髪型を隠すものでした。そういえば、遠山の金さん(遠山景元)も「ほっかむり」をして悪人の所へ乗り込みますね。
武家も町人も帯に差したものに扇子があります。これは暑いからといって顔をあおぐものではありませんでした。扇子を全部開いてあおぐなど、無礼な行為でした。外出時には帯に差しておきますが、屋内に入ると手に持ち、座敷に座ったら前方に置きます。儀式のときには扇子を手にします。これを「構え」といいます。今でも結婚式の写真撮影などで、和装の花嫁が扇子を手に「構え」ますが、もとは男性の同じだったのです。
老中などは、江戸城の「御用部屋」で書類を渡すときは、扇子に挟んで渡しました。神聖な道具だったのです。
時代劇を見るときに、ちょっと気にしながら見てみるとおもしろいですよ。
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